ダイヤルアップも安全とは限りません。

べ:
ねえ、おねーさん。ニュースなんかでよく『ハッキングが〜』とか『クラッキングが〜』とか言ってるけどさ、この二つって詳しく言うと別々のものなんだよね?

お:
んー、まあ厳密に言えば、ね。もともと『ハッカー』っていうのは『コンピュータ技術に優れた人』くらいの意味で、その中で悪質な人が『クラッカー』って呼ばれたんだもの。
だから、もともとは別だったんだけど…今じゃ『ハッカー』っていう尊称もあんまり使わないし、別に気にしなくてもいいんじゃない? 口うるさい人はこだわるみたいだけど、おねーさんはどっちでもいいことだって思ってるし。
…ていうか、べるたん、なんでそんなこと聞くの?

べ:
こないだ雑誌でさ、『パソコンをインターネットに接続するのなら、クラッカーには気をつけろ』って書いてあったんだよ。
…でもさ、会社とかならともかく、ボクみたいな普通の人間のパソコンなんて、誰もわざわざ狙わないんじゃない?
そりゃ家計簿とか日記とか、他人に見られたくないデータはあるけど…他人が見てもそんなに面白いものだとも思えないしさ。

お:
そうでもないわよ。よく誤解されてるみたいだけど、個人ユーザーだからって狙われないとは限らないっていうのはインターネットの定説だもの。

べ:
…なんか、定説って聞くとうさんくさいんだけど…

お:
…それなら別に、『常識』とか『了解事項』に言い換えてもいいけど。
でも、油断してると危ないっていうのは冗談抜きだからね。あと、『ダイヤルアップ接続は、接続するたびにIPアドレスが変わるから安全』っていうのも嘘なんだけど。
…個人ユーザーの安全管理が悪い、っていうのもこういう誤解が原因なのかもねー。

べ:
…? なんでそれが間違いなのさ?
だって、普通に考えたらそうなるんじゃないの? 住所が毎日変わる家に泥棒に入れ、って言われても難しいと思うんだけど。

お:
そうでもないわよ。それは、常時接続に比べればインターネットに接続してる時間も短いし、安全性は高いでしょうけど、でも、絶対じゃないの。
例えば…そうね、侵入者側が『トロイの木馬』を使ってくることだってあるんだし。

べ:
トロイの木馬?

お:
そう。簡単に言うと、ウイルスの親戚みたいなものなんだけど、狙ったコンピュータに悪さをするんじゃなくて、感染したコンピュータを思い通りに操るためのものなの。もしこれにコンピュータが感染したら、操縦元に自分の感染してるコンピュータのIPアドレスを教える機能があるんだから、IPアドレスを変えても時間稼ぎにしかならないでしょうね。
…さっきの例で言うなら、せっかく住所を変えたのに、家の住人に化けてた泥棒の仲間が泥棒を引き入れるようなものかしら。

べ:
ふーん…そんなプログラムもあるんだ…

お:
他にも、インターネットから接続されているコンピュータに片っ端からランダムに簡単な攻撃をしかけてみて、セキュリティの弱そうなところから破っていくっていう方法もあるし…これだと常時接続だろうとダイヤルアップだろうと、狙われることには大差ないしね。

べ:
う…で、でも、接続時間が短いっていうのは、こういうときにはメリットじゃないの?
いくらクラックされたって、変なことをされる前に接続が切れちゃえば何もできないでしょ?

お:
そう?
でも、接続時間が短いって言っても、テレホーダイとかiアイプランとかあるせいで、ダイヤルアップ接続でも30分や1時間接続してることは珍しくないと思うんだけど。べるたんの言ってることは間違いじゃないけど、30分あればかなりのデータが操作できるでしょうね。
…それでもメリットになるかしら?

べ:
えと…そ、それは…

お:
まあ、だからって特別なことをしろ、ってわけじゃないんだけどね。
ただ、『自分はダイヤルアップだからセキュリティは気にしなくてもいい』っていう思い込みは捨てなさいっていうこと。ダイヤルアップ接続でも個人ユーザーでも、最低限のセキュリティには気をつけないと、どうなっても知らないからね。

べ:
はーい…これから気をつけるよ…