パブリシティー権に気をつけて。

お:
突然で何だけど、べるたん、アイコラって知ってる?

べ:
…本気で突然だね、おねーさん。
えっと、あれでしょ? なんかアイドルの写真とか使って、合成したり編集したりして作った変な写真。

お:
あら、知ってたの?
じゃあ、ああいうのがパブリシティー権侵害で訴えられた、っていう話は?

べ:
ぱぶりしてぃー権?…なに、それ?

お:
んー、話すと長くなるんだけど…ああいう他人の写真を勝手に公開したり加工したりするのって、肖像権侵害や名誉毀損に当たるかもしれない、っていうのは分かるでしょう?
でも、芸能人みたいな有名人の場合、普通の人と違って、それに加えてパブリシティー権侵害っていうのが加わることがあるの。

べ:
いや、だからそのパブリシティー権っていうのがよくわかんないんだけど…それって、普通の人にはない権利なの?

お:
普通はないでしょうね。
っていうのも、パブリシティー権っていうのは『名前や顔を財産として認められた権利』だから、それらが財産になるような有名人にしか存在しないのよ。

べ:
…よくわかんない。

お:
例えば、有名歌手のコンサートの写真を撮って、勝手に販売してた人がいたと考えてみて。肖像権っていうのは基本的にプライバシーを守るための権利で、コンサートの最中っていうのはプライバシーじゃないから、これは肖像権では取り締まれないの。
でも、歌手の方からすれば、勝手に写真を撮られて商売に使われるなんて許せないでしょう?

べ:
それは、まあ、そうだと思うけど。

お:
で、こういうときにはパブリシティー権が関わってくるの。つまり、有名歌手の写真を無許可で売るっていうのは、『その歌手の姿』っていう『財産』を無許可で利用してることになるからダメ…ってわけ。

べ:
ふーん。じゃあ、有名人の名前を勝手に宣伝に使うのも…

お:
もちろんダメね。『あの○○氏も絶賛!』っていう宣伝があるけど、これも無許可でやるとパブリシティー権侵害になるもの。
…だから、逆に言うと、誰も知らないような人には名前にも姿にも財産価値がないから、パブリシティー権もないっていうことになるの。

べ:
へー、そんな権利があったんだ。

お:
で、インターネットではけっこう気軽に有名人の写真とかアイコラとか載せてることがあるんだけど…これって、パブリシティー権の立場から見るとすごく危ないわけでね。

べ:
それはわかるけど…でもさ、何もパブリシティー権とかって言わなくたって、普通に『勝手に写真を載せるのは肖像権侵害ですよー』って言ってればいいんじゃないの?

お:
んー、でも、民事裁判になったときの金額が比べものにならないから。
普通の人の個人情報や写真を勝手に載せるのも名誉毀損なんかになるでしょうけど、パブリシティー権が絡んでくると賠償金とかケタが違ってくるのよ。

べ:
…ケタが?

お:
そう、ケタが。最悪、二つくらい0が増えたりするかも。

べ:
……。
…ボク、人類みな平等って嘘だと思うな。本気で。

お:
そういうものよ、世の中って。